
消えていく記憶と対等であるために
2018.12.7~10 601号室/トウセン池袋ビル
自分に余裕がない時は、体のどこかに記憶を閉まっている。
でも、突然、頼る何かが欲しくなって記憶を心の拠り所にする。
思い出した記憶にもう一度傷つけられる。
少しづつフレッシュさを失っていく記憶に肩を落とす。
何をとっても身勝手で、「対等」という言葉からは程遠い記憶と私の向き合い方。
記憶に関する言葉は、この世にたくさんあって、けれども、気持ちに沿う言葉はなかなか見つからず、どれもなんだかパッとしない。
高速道路の両車線を同時に眺めながら、
走る全ての車の位置を確認する。
記憶と対等な関係に少しでも近づくために。
池袋北口、平和通りを抜けて、トウセン池袋ビルの6階へ
607号室へ入ると、窓の外には高速道路が見えた
ソファに座って、通り抜ける車を数えてみる
消えていく記憶と
対等であるために
こんなにも汚い街は、他に知らない。でも反面、美しいと思う
許されるような感覚が、この街にはあるのだ
圧倒的な暴力性は私たちを優しく包み込み、自らを忘れさせる
浮ついた言葉、石鹸を触る手と、生活の狂気、
喉を通るぬるい液体、千円札、車のキー
記憶は無くならず、消えていくのは私である
光がみえる
どこかへ行こう
たくさん後悔しよう
ハンドルを握り、アクセルを踏む
もう帰ることはないだろう
!
池袋にあるオフィスビルのワンフロアで実験的に行われた、インスタレーション。
玉ノ井友季子が描く絵画作品と、吉田未来の作る無機質的なオブジェと、それらの中間に生まれる作品の数々が、複層的な空間を作り上げました。本展では、鑑賞者がJR池袋駅北口から平和通りを歩き、ビルに入り、作品を観るという全ての体験を一つの作品として捉えることを試みています。12月8日のオープニングパーティではパフォーマンス作品”プライベート・パフォーマンス”を行いました。
映像作品"消えていく記憶と対等であるために"は、窓の下に見える高速道路の車の動きをリアルタイムで映像内の時間に変換する作品です。webカメラで感知した車の動きをAIがカウントし、一定の台数が通り過ぎると映像内の文章が進んでいきます。
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